ホルンの誕生秘話

ホルンの誕生秘話

ホルンは、古代から存在する楽器の一つ。
その起源は非常に古くさかのぼることができます。
最初期のホルンは、簡単に言うならば「角笛(つのぶえ)」、つまり動物の角などで作った笛です。
角笛は、狩猟や戦闘の際の合図として広く用いられていました。

中世のホルン

金属製のホルンが登場したのは、15世紀頃です。
金属製の管で作られた「狩猟ホルン」が登場し、馬上で吹けるように改良されました。この狩猟ホルンが、現在のホルンの原型。
くるんと巻かれているのは、肩に提げるため。そうすれば馬に乗っても演奏ができます。
このとき邪魔にならないように、ベルは後ろ向きになったと言われています。

ナチュラルホルン

19世紀中頃までのホルンは「ナチュラルホルン」と呼ばれ、マウスピース、長い管、そしてベルだけの実にシンプルな構造でした。
このナチュラルホルンではいわゆる「自然倍音」と呼ばれる音のみでしか演奏できないため、音程を変えるには、唇の形や振動、息のスピードなどを調整して演奏していました。

それでも、音階は演奏できません。
どうしても出ない音を出すため、当時のホルン奏者たちが考え生まれたのが「ゲシュトップ奏法」。

これは今現在も使われるホルン特有の奏法です。

ゲシュトップ奏法は音の出口を手でふさぐため、音色はくぐもった感じになり、音量も小さく、音程も不安定。これによって出せる音は格段に増えたものの、まだ出せる音には限りがありました。
当時のホルン奏者たちは、今では考えられないほど苦労してホルンを吹いていたのが分かると思います。
そうした不満を解消するために、19世紀中頃になってようやく、バルブによって管の長さを瞬時に変えることのできる「バルブホルン」が開発されました。
ナチュラルホルンを聴いたことがない人は、ぜひ一度聴いてみてください。

その音色は現在のホルンとは違い
より柔らかく、明るく、軽やかで、暖かみがあります。
雑味のない原始的な音色が魅力です。

バルブホルンの誕生により、ホルンはようやく安定した半音階が演奏できるようになりました。
20世紀には複数の長さの管を組み合わせた「ダブルホルン」や「トリプルホルン」も登場します。
現代ホルンの主流は「ダブルホルン」。
F管と♭B管、二つの管を持ち合わせています。